センター長の修行帖

センター長の修行帖(1)

2021年04月28日 (水)

「先達」の「あらまほしき」は言を俟たず。

主に急性期の脳神経外科診療に従事し還暦も過ぎた身には、新境地となる慢性期意識障害治療の仕事は重すぎる荷とも思われましたが、これまで30年超の広南病院東北療護センターの歴史を紡いでこられた初代センター長の藤原悟先生が広南病院理事長として、2代目センター長の長嶺義秀先生が東北療護センター顧問として留まっておいでとのことでしたので、駆け出し医師としてご指導いただいた時分を懐かしみながら、25年ぶりに広南病院の門をくぐらせていただきました。
ありがたいもので、種々の委員会や行事、公的文書の作成から新型コロナウィルス対応まで、懇切丁寧にご指導いただいております。

臨床の場では、遷延性意識障害の患者さんに覚醒と睡眠のリズムがあることを実際に教えてくれたのは病棟の看護師さん達でした。患者さんを指して「この方は起きています。この方は寝ています。」と言われても、最初のころは何を言っているのか全く解りませんでした。
日々必要な診療の手ほどきをしてくれたのは、かつて栃木県の病院で一緒に急性期の脳外科診療に携わった関副センター長でした。

そして、意識障害学への入門として大いに参考にさせていただいたのは千葉療護センターのホームページに掲載されている岡信男先生の論文でした。

これに倣い、遷延性意識障害の治療について学んだこと、現場で行っていることなどを、折に触れて開陳させていただくことといたしました。
難治の意識障害症例と対峙する様々な職種の方々の、幾何かでも、お役に立てれば幸いです。

修行帖としましたのは、仕込んだばかりの底の浅い知識ですので、出納帳や大福帳のような、必要情報を網羅したうえで帳尻を合わせた論考はできそうもなく、図案帖のように、美しい反物の端切れを集めてサンプルとしてお見せするくらいがせいぜいとの思いからです。

それでは早速ですが、AAN、ACRM、NIDILRRによる「意識障害診療ガイドラインサマリー2018」の拙訳を貼らせていただきます。
原文はAAN、ARCM、NIDILRRに断りなくシェア可能となっておりますが、小生の和文に関しましては、未熟な部分が多々あり、転載をお断わり申し上げます。
翻訳上の問題のご指摘並びにご意見は、お手数ですが、当院ホームページ医療相談室問い合わせフォームより頂戴できれば幸いです。
また、原文の内容に関してのお問い合わせにはご返答いたしかねます。

令和3年春 広南病院・高松宮御手植えの桜散る頃



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